雪の組曲

 降雪の夜が明け、空にはぶ厚い雲が残った。諦めきれずに何ヶ所かの目的地へロケハンに向かう。
昼を過ぎ富士吉田から富士ケ嶺に向かう途中で空に窓が開いた。美しい青空が顔を出す、迷わず農大牧場に向けてハンドルを切る。
そこには小説「雪国」の冒頭のごとき豊かでたおやかな雪景色が横たわっていた。
 かつてこの地でこれほどの光景を見ることができたであろうか。
純白の平原、木々に宿る新雪、清く澄みきった青空、白馬のごとく眩しく輝く霊峰、足早に、しかもゆったりと流れる美しい雲。
 全てが完璧に溶け合う雪の組曲であった。

雪の組曲
 
 
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