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涅槃の富士へようこそ
 

2003年の秋に、ある友人の奥様が難病を乗り越えられ無事退院された際に一枚の写真をお見舞いとして差し上げたところ、丁重なお礼の手紙を戴きました。
 
「まことに心が洗われるような感動を覚え心が安らぎます、免疫療法として大切に鑑賞させていただきます。」
 
 この文章を読んだ時、「これで出来るかも知れない」そう思ったのです。
じつは、私自身も2003年の6月に2度目の心臓手術を受け、九死に一生を得たばかりでした。先生方の診断は非常に厳しいもので、肥大した心臓と肋骨との癒着、肺動脈圧が常人の5倍もある異常値、度重なる僧帽弁からの血液の逆流による肝臓の鬱血に起因する肝機能の衰えなど、手術に希望をいだくには余りにも過酷な条件が山積されていました。
 
 私は覚悟を決めざるをえませんでした。しかし、それは生易しいものではありませんでした。もう見ることができないと思うと、鉛筆一本、電球一個がいとおしく、飲める酒であるならば思い切り飲み明かし、意識が戻らぬうちにこの世から消え去りたいと思いました。
 
 目を開けると、そこにはICUの蛍光灯が光っていました。 「助かった!」手術は先生方も驚くほど順調に終わり、術後なんと17日間で退院することができました。
 
 今こうして、机に向かっている自分がいることに一番驚いているのは私自身です。退院の前日にノートにこうメモしました。「残りの人生を、苦難を乗り切る手助けをしてくれた人々と、社会の為に生きよう。」その答えが手紙の中にあったのです。
 
「もしも自分の写真が闘病を続ける人々に、勇気や希望を与えることができたなら!」 そう思いました。
今現在死に直面する人々に、写真で安らぎとできることなら勇気を喚起してもらう為に撮影を続けています。昨年より緩和ケア施設での写真展の開催を開始することができました。写真展に際し、ご覧戴いた幾人かの患者さんが私との面会を希望してくれました。お話を終える頃、患者さんの感想は「やっぱり富士山が一番だよ」「富士を見ていると心が落ち着く」この二つの言葉で必ず締め括られました。日本人の富士を見つめる眼差しには違いがないことを、改めて実感しました。
 
 闘病を続ける多くの患者さんに様々な富士山を見てもらう為、頑張ってもらう為、これからも撮影を続けて行く所存です。
 

岳丸山

<略歴>
総合商社に勤務するが持病の心臓病が悪化した為、2003年に退職。
2度目の手術を受け奇跡的に生還。
術後リハビリを兼ね富士山を撮影する。
2007年から、写真による医療機関への福祉活動を目的として活動中。
 
静岡県在住
早稲田大学第一法学部卒業
 

「涅槃の富士」の由来
 涅槃(Nirvana)
 究極の悟りの境地・空
 永遠の命
 永遠の安らぎ

 

岳丸山
ドイツテレビ放映風景
ドイツテレビ協会(ZDF)も認めた
涅槃の富士の精神性
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がんセンターにて
医療施設写真展の活動報告